不動産情報に住所がのらない理由

ほとんどの不動産の情報には住所が細かく記載されておりません。

不動産会社が電話で住所を教えない理由をあげてみると、

その真意がわかります。

①土地や空家には現地に他の業者の看板やのぼりがある。

②新築や空き家の物件などは他の業者がオープンハウスをやっていたりする。

③居住中の物件などは、勝手に見学をされると売主や近所の迷惑になる。

(近所に売却活動を知られたくない売主様も大勢いらっしゃいます)

④情報に興味を持った方から、住所の『お問い合わせ』をいただくため。

が主な理由です。


この中でも、我々不動産会社にとって、住所を載せない一番の理由は、

①番や②番の『他業者の存在』が一番の問題なのかもしれませんね。


特に新築戸建の現場などは、他社の仲介の営業マンが待機していることもよくありますので、

お客様のみで直接現地に行くと、お客様に悪気がなくても

自然にその営業マンの営業をうけてしまいますよね…

だから住所はあまり記載しないのです。(必ず同行するのです)


買い希望のお客様をご案内する際に、オープンハウスの物件や、

現地に看板のある物件を案内することがよくあります。


買い手のお客様からすれば、この看板やオープンハウスの業者に直接相談すれば、

『仲介手数料がかからないのでは…』と淡い期待をされていることがあると思います。

(たまにそんな話になります…)


結論からいいますと、ほとんどの場合、仲介手数料はかかってきます。

かからない場合は、取引態様に『売主』と記載されている物件、『代理』の一部のみです。


なぜなら、看板やオープンハウスの業者もほとんどが『仲介業者』ですので、

たとえ現地の看板にお客さんが直接連絡しても、結局仲介業者なのです。

だから、直接連絡されたりすると、後々業者同士、お客様を交えてのトラブルになることもあります。


さらに、すべての物件が、売主側の業者(値付といいます)によって、

オープンハウスや看板を取り付けているというわけではありませんので、

たとえば、その看板の業者の先の業者が、元々物件紹介された業者であることも…

(トラブルになるだけでなく、お客様の信頼もなくなります。)


また、看板に連絡して直接相談された結果、仲介業者一社のみの取引になるとします。

(この状態になることを我々業界では『両手取引』といいます)

そうすれば、その取引は、

『1社の仲介業者がすべての実権を握る取引』になるということになります。

結果、仲介業者が自分の利益のため…となる場合もあるかもしれません。


以前、不動産取引には『2社』仲介業者が介在すると説明しました。

売主側の仲介業者と、買主側の仲介業者です。それぞれが取引に介在することによって、

依頼者のために牽制し合っているともいえます。


さらに直接連絡した結果、仲介業者がいない状況、

つまり『売主』と直接交渉できたとしましょう。

そうなれば交渉の相手は業者で、お客様は一般の方となりますよね。

これではお客様にとって安全で不利益にならない取引が約束できるとは限りません。


不動産の情報は巷にあふれかえっております。

不動産会社は『物件情報を手に入れるだけのため』にあるのではありません。

最初に選んで依頼した不動産会社に、自分がなぜ声をかけたのか、もう一度自分自身確認し、

気持ち良い取引をしてマイホームを手に入れたいものですね。


余談ですが…③番以外は、最初に、

帝塚山不動産販売さんから聞いた情報は、必ず御社を通じて取引しますので、

だから住所を教えてください。』などと言われると、すこしは安心なんですがね…