専任媒介契約は有利?

前回のお話で、不動産媒介の仕組みを簡単に触れましたが、

今日は私なりの角度から媒介契約のことを少し…


『不動産会社』と『依頼する不動産の所有者』との

契約のことを、『媒介契約』というのですが、


まず、一般的に、依頼者が複数社の不動産会社に媒介を依頼する行為、

A社にも声をかけ、B社にも声をかけ…声をかけますよね…

この売却活動をしてもらう際に、不動産会社と売却価格の取り決めや

仲介手数料の取り決めをする契約のことを『一般媒介契約』と言います。


その中で依頼者が、1社だけの不動産会社に売却を依頼する契約のことを

『専任媒介契約(専属専任媒介契約)』といいます。


不動産の売物件の『取引態様』を流通機構で確認すると、

登録物件のおよそ7〜8割くらいは専任(専属専任)媒介契約です。


専任媒介契約のほうが一般媒介契約と比べて多い理由は、

不動産会社が依頼者に専任媒介契約を締結してもらうことを

求めていることが理由の一つですが、

専任(専属専任)媒介契約での依頼を受けた売却不動産は

必ず指定流通機構(レインズ)への登録が義務づけられていることが、

7〜8割を占めるもうひとつの大きな理由なのでしょうね。


ところで専任物件で売却を依頼するメリットなのですが、

それは、必ず『依頼した物件が流通機構に登録される』ということですが、

実はそれだけではありません。


専任媒介契約で一社に窓口を決めておくと、その不動産会社に

案内日時や案内予約の管理をしてもらえます。

また、空家なら鍵の管理などもお願いできるでしょう。

さらに、専任(専属専任)の依頼を受けた不動産会社は、

自社だけで売主から依頼を受けおりますので、

売り主側の手数料は約束されております。

だから安心して依頼した不動産会社が他社に販売協力をお願いします。


これが、一般媒介ですと、

売主は複数の不動産会社に売却を依頼しておりますので、

自分の会社を通じて売れるとはかぎりません。

だから手数料も約束されておりません。

結果、あまり熱心に売却活動しないことも考えられます。


さらに一般媒介は依頼者自身が複数社に売却を依頼しているので、

依頼者が窓口になり、不動産会社相手に鍵の手配から案内の段取りまで

全部自分でしなければなりません。

(まぁ、合鍵をつくって複数の不動産会社に渡したりもしますが…)

実はこれらが仕事を持った一般の方なら大変なことなのです。


さらに依頼者に複数の商談や交渉が入ると、どの商談が自分にとって

本当に有利な商談のかを相談する相手もいなくなります。

(相談する不動産会社は皆、自分のお客様で契約したいので、

他社の商談を相談されても良くは言わないとおもいます…たぶん)


一般媒介契約や専任媒介契約などの説明だけ読むと、

複数の不動産会社に同時に依頼ができる一般媒介契約のほうが、

競争の原理も働いて売主には有利に思えます。


しかし、実際には『一般媒介契約』のメリットはそれくらいで、

その他は売主自身が判断したり、価格などの調査をしたり、

売却活動しなければならないことが多いので、

『一般媒介契約』は、プロの売主が仲介業者に売却を依頼する場合や、

契約や取引の内容を本当に理解できている一部の方が

選ぶべきではないかと思っております。


一般の方の場合は信頼のおける不動産会社に専任で依頼した方が

何かとメリットがあるのかもしれませんね。