初めての不動産仲介業務は…

私が不動産業界で働きだしたのは、平成14年ころからなので、

ちょうど32歳のころです。


初めての契約は、入社後半月が過ぎようとしていたころでした。

物件は大阪市城東区の中古マンション『関目北すみれハイツ』でした。


当時はインターネットはまだ今ほど普及してなく、

お客様が情報を得る手段は、チラシか店内での紹介がほとんどでした。



ある日、突然店に来店されたそのお客様は、

たまたま事務所にいた私が担当になり、

希望をお聞きしたうえで数件の物件情報をお客様に見てもらい、

その中から3件を当日案内しました。


結局、その日案内した物件はピン!とこなかったようで、

見送りのお返事をいただき帰られました。



数日後、アポなく突然にそのお客様が再度来社されました。


そして私を呼んでいただけました。


お客様は、手に一枚の広告を持ってこられておりました。

聞くと、なんと他社の広告に掲載されている物件を

私に仲介できないか確認するためにわざわざ広告を持って来られたのでした。


すぐに物件を調べると、レインズ(不動産流通機構)に登録されていましたので、

早速物件を確認しましたところ、まだ商談中ではなかったので案内の段取りができました。


すぐに案内させてもらいましたところ、お客様も気に入りましたので、

ほかの案内や問い合わせの状況を、売り側の業者に確認したところ、

『午後からも案内の予定がある』ということ。


そのことをお客様に黙っておくわけにいかないので、説明をしたところ、

結局その場で『買い付け』をいただき、

また、現金購入だったこともあり、

数日後あっさり契約となったのでした。



契約後日、決済の打ち合わせで事務所でお会いした際に、

ご主人様がトイレで席を離れた隙、

奥さんに、

『なぜ、直接に広告の業者様(最大手)に連絡しなかったのか?』

と、きいたところ、


『主人はあなたから買うと決めていたみたい』

とのことでした。


続けて、

『あなたが新人で私たちに一生懸命だったので、主人が気に入っていた。』

と言ってくれました。


私は嬉しさのあまり涙が出そうになりました。


実は、家でチラシを見た際に、

私から買うと決めてくれていたようでした。

なるほどあっさり決まるのも当たり前です…



その初めての契約は、翌月には滞りなく決済ができました。

今でも買主様のお名前は覚えております。



最初の契約は特に深く記憶に残るもの。

たまに思い出しては初心に帰るのもいいですね。